舞岡リサーチパークの何処にも繋がっていない謎の2車線道路(最終回)

2017/10 実写、2019/08/01 公開

 

※(第1回第2回第3回)の続きですので、以前の記事を読まれていない方は先にそちらをご一読ください。

 

車道の末端を確認した後は、歩道も少し探索。

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T字路を過ぎて振り返り撮影

こちらは、車道が封鎖される地点より少し前から管理状況が怪しい。

植え込みは荒れ、歩道のタイルの隙間から草が生長している。

立派に整備されたは良いが、間近に行き止まりを控えており、利用者が得られないという現実が見えてきた。

 

 

ここで振り返ると…

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足の踏み場が無い

上の写真をよく見ると、実は車道の封鎖地点に達していない事が分かる。

 

だが、歩道は一足先に"やられて"しまったようだ。

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人為的な封鎖こそ無いものの、藪で車道封鎖地点より手前で足止めされてしまった。

この奥に、人が歩けそうな余地は見えない。冬場なら、もしかしたら…

 

藪を歩くような装備を持ち合わせていない為、ここで引き返すことにしたい。

 

現地調査の締めとして、この廃道区間を象徴する2つの写真をご覧頂こう。

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完成後、殆ど車を通さぬまま荒廃したであろう哀れな末端区間

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街灯を境に右側は生、

特に、2枚目の写真にはゾクッとした。街灯を境に、左右で明暗が見事に分かれていたのだから。

 

未成道の素晴らしさを、ギュッと凝縮した様な、素晴らしい道だった。

 

 名も無き未成道の歴史と展望

それでは、この先の区間は本当に建設されていなかったのだろうか。

この道が建設された前後に撮影された、3枚の航空写真を比較してみた。

 

まずは1980年代後半。

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黄丸が封鎖地点周辺。この頃は何も無かった

舞岡リサーチパークの姿は、まだ影も形も無かった。


しかし、上の写真が撮影された2~4年後の1992年には、

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造成中の舞岡リサーチパーク

造成中の舞岡リサーチパークの姿があった。

この後、1994年には現在と同じ範囲の造成工事が終了している。

 

最後に、造成から10年後の2004年に撮影された写真。

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既に、現在とほぼ同じ範囲の区域が開発済み

どうやら、茂みの先に未成道が建設されていた可能性は極めて低いと判断した方が良さそうである。

 

しかし、これだけで終わりではない。


実は、今存在している区域は『第1期地区』に過ぎず、舞岡リサーチパークは更に拡張する可能性を秘めているというのだ。

 

横浜市のHPによると、第1期地区が完成してすぐの平成7年頃に、事業は一旦の区切りを迎え、以後20年近くに亘って進展が無いまま年月が経過していった。

舞岡リサーチパークの整備計画が再び持ち上がったのは、平成25年頃、舞岡リサーチパークの土地所有権が『特別法人横浜市土地開発公社』から横浜市に移ったことがキッカケ。

この結果、『舞岡リサーチパーク 第2期地区』の建設計画が進む事となった。

 

はまれぽ.com『ハマスタ約9個分? 戸塚区で進む「舞岡リサーチパーク」構想とは?に、舞岡リサーチパークの今後の展開が記されているため、詳細はリンク先の記事に譲る。

 

ここで何が言いたいかというと、舞岡リサーチパークが拡張を果たせば、25年も放置されてきたあの末端が末端で無くなる可能性が大いに残されているという事実(!)

 

市の資料に、第2期地区の土地利用基本計画案という図が存在する。

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『舞岡リサーチパーク 第2期地区』の開発予定図(横浜市より)

 ここでは、上で見た末端からの続きが、明確に書かれていることに注目したい。

新設区間、そして第2期地区に入った道は、公園の入口で二手に分かれ、それぞれの終点へと向かっている事が読み取れる。

 

そして、同時に残念な事実も発覚する。

 

末端の先に道が伸びても、結局新たな末端が出来るだけで、第2期地区以外の地域には繋がらないようだ。抜け道利用を懸念して、敢えて立派な道路を繋げないという手法は全国に散在するが、ここもその一つだろうか。個人的には、非常にもったいないと感じてしまうところ

 

しかし、未成道路が完成した新たな姿として生まれ変わり、日の目を見ることは、やはり非常にインパクトが大きいと思う。

 

いま探索した末端の先に道が伸び、完成された本来の姿を見せてくれることに期待したい。 

【完】