仙台市・折立交差点の改良案を作ってみた。(前編)

うわあ…
事故でもないのに、信号が原因で県道で5km超の渋滞はエグ過ぎる……

(2022/1/20、中の人のTwitterより)

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仙台市青葉区東北道の仙台宮城ICにほど近い折立地区の「折立」交差点で、2022/1/20に突如信号制御が変わりました。

 

そして、突如5km以上の渋滞が出現。

 

ラッシュ時は、交差点の通過時間が30分延びたとの声も。現在は多少改善しているものの、連日大渋滞の状況は未だ変わらず。

Googleマップ

 

詳細は、「交通信号機等調整準備中」氏の動画で解説されているので、最初にこちらをご覧ください。

①  【苦情殺到】宮城県警やらかす!信号機改造で大渋滞!仙台市青葉区「折立」交差点が交通改悪~新名所・渋滞スポット~ - YouTube

②  徹底解説版【苦情殺到】宮城県警やらかす!信号機改造で大渋滞!仙台市青葉区「折立」交差点が交通改悪~新名所・渋滞スポット~の補足動画を作りたかった。 - YouTube

 

また、制御変更前の信号サイクルは、「FYRAN CATCHER  道路関係動画アカウント」氏の動画に載っています。

③  来年2月に右折分離式になる折立交差点をご紹介 - YouTube

 

動画①では、新しい信号制御の大きな欠点が以下のように述べられています。

・対向車分離式信号 & 歩車分離式信号により、車両を捌く効率が悪化

・あろう事か、歩灯の青時間は、一番交通量の多い方向の青時間を犠牲にして確保されている

 

また、動画②では新しい信号制御による渋滞をより悪化させた原因や、信号制御に関する制約について以下のように述べられています。

・信号制御の変更が事前に周知されていなかった(看板ナシ)

・対向車分離式の標示が無いため、従来通り対向側の直進車を待つ右折車が多かった

・北側の道は右折レーンが短く、右折車が直進車線へ溢れるのを防ぐため全方面同時に青にする必要がある(橋があるため拡幅も困難)

・歩車分離式にも拘わらず、2方向の横断歩道を一度に渡り切るには横断歩道の青時間が短すぎる

・交差点の対角へ渡るため、歩車分離式信号を2回発動させる人が多かった

・案外歩行者は多いが、全方向の横断歩道が同時に使われる事は無かった

・東側の道は左折レーンが2車線ある上に速度も出やすく、左折時に歩行者と衝突するリスクが高いため、歩車が交錯しないような信号制御は必要

・折立交差点を迂回するマトモな道は実質無いに等しい

今の信号サイクルを決めた人は、この結末を予想出来なかったのでしょうか。

 

とは言え、自動車側の利点も一応無いわけではありません。

・歩行者と自動車の接触事故が無くなる(歩灯と車灯が別々に青になるため)

・南北方向の右直事故が無くなる(南方向と北方向が別々に青になるため)

 

しかし、この程度の利点ならば、渋滞対策と両立して行う事は可能な筈です。

そこで、本記事では、上記の利点を生かしつつ、渋滞を最小限に抑える効果的な交差点&信号サイクルの改良法を考える事にします。

【改良項目一覧】

1⃣ 交差点の改良

 ① 交差点のコンパクト化

 ② 2段階横断の導入

 ③ 信号制御変更の案内、時差式である事を知らせる表示板の導入

2⃣ 信号制御の変更

 ④ 主要方向(南⇔東方向)の青時間を優先的に確保

 ⑤ 横断歩道は方向別に異なるタイミングで青に

 ⑥ 歩車分離による影響を最小限に抑えた、効率的な信号サイクルへ

 

1⃣交差点の改良

①交差点のコンパクト化

文字通り、交差点の面積を減らす事です。

停止線を前方に出し、交差点内の走行距離を減らす事で、交差点をより短い時間で通過できるようになり、スムーズな信号制御が可能になります。(※1)

また、自分の進むべき方向を交差点内で見失いにくくする事で、より安全に交差点を通行できます。

※1:交差点の通過に必要な時間を5秒としましょう。ある方向の信号が赤になってから5秒後までは、最後の車が交差点内にいる状態なので、次の方向の信号を青にできません。この間、全方向の信号が赤になり、タイムロスが発生します。交差点の通過に必要な時間が減れば、タイムロスも減らせるのです。

 

② 2段階横断の導入

道路を2回に分けて横断させる事で、1回当たりの横断距離が減り、歩行者信号の青時間を減らせます。

また、青信号のタイミングをきめ細かく(方向別に異なるタイミングで)制御できるため、車両用青信号のタイムロスを減らせます。

 

中の人は、面積を減らした交差点の新しい形を2種類考えました。

なお、図の上方向が北です。

交差点改良案1.東側の横断歩道のみ2段階横断化(交差点面積縮小度:中)

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東側の横断歩道を別々に青にする事で、東側からの左折車両を流しながら、より横断距離の長い横断歩道Cの歩行者を渡らせる事ができます。

また、東側と南側の道で、停止線を大きく前出ししています。(それぞれ2台分、1台分)

 

交差点改良案2.東側と南側の横断歩道を2段階横断化(交差点面積縮小度:高)

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台北環状線(東側の道)からの左折車両を、南側の横断歩道Bが青の状態で同時に流す事ができます。

また、南側の道の停止線を2.5台分も前出ししているため、交差点の通過に必要な時間がかなり短縮されています。

但し、南側からの右折車両と北側からの右折車両を同時に流せない点に注意です。

 

2⃣ 信号制御の変更

次に、信号サイクルの改良案を考えてみます。

まずは、制約条件を整理してみましょう。

【自動車】

ア.南側の道(仙台宮城IC方面)と東側の道(仙台北環状線の間の往来が最も激しい

イ.南⇔北方向と東⇔西方向、西⇔北方向の往来も多い

ウ.北⇔東方向の往来を除けば、全方向ともにそこそこ交通需要が高い

エ.北側の道は右折レーンが短く、右折車両が直進車の車列に溢れる事がある

オ.1つの進行方向に対する青信号は1サイクルで1回のみ

【歩行者】

カ.安全上、歩車が交錯しない制御は必要

キ.一度の青信号(30秒余り)で2方向の横断歩道を別々に渡る事は難しい

ク.全ての横断歩道が同時に渡られる事はない

ケ.西側と南側の横断歩道が比較的よく使われる

 

以上の制約条件から、新しい信号制御の方針を以下のように定めます。

アより、南⇔東方向の青信号を最も優先する事

イ・ウより、なるべく青時間を長く取るべき方向が多い事

エより、北側の道からの直進車と右折車をなるべく同時に流す事

カより、横断歩道と交錯する交通流は同時に青信号にしない事

キ・クより、横断歩道は方向別に異なるタイミングで青にする事

クより、西側と南側の横断歩道は押ボタンでない制御も考える事

 

ここからは、交差点改良案の1と2で話が少し違うので、別々に考えたいと思います。

(続く)