局地的な制限速度の改善提案 ~三ツ境下草柳線と中原街道の合流部を例に~

高速道路のインター等でよく見掛ける40km/h規制

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新東名・新御殿場IC

途中には確かに制限速度でしか曲がれないような急カーブがあるものの、

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急カーブを過ぎた後の良線形区間でも同じ制限速度が続き、

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本線に入る前まで40km/h規制というのはよくある話です。(2020/3/31まで合流車線が60km/h規制でしたが、現在は本線と同じ制限速度となりました。参考:https://bestcarweb.jp/news/146949)

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このような「画一的な」規制は、カーブも直線も同じ速度で走る事を想定した設計速度の数値がそのまま規制速度に流用されている為に起こります。

ですが、「本線へ合流する直前」や「本線から分岐した直後」の区間を、急カーブと同じ40km/hで走る事は少ないでしょう。

実際に運転する際は、線形の良し悪しによって柔軟に走行速度を変えていると思います。

 

道路の制限速度は、このような短いスパンでの柔軟な走行速度の変化をも合法的にカバーすべきではないでしょうか。

自動運転技術が世に出つつある今、局地的な制限速度の改正は益々必要性が高まっています。

 

ですが、「どのように規制速度を変えるか」に関してはあまり議論が進んでいないので、当ブログでは実例に触れながら自分なりの意見を確立していきたいと考えています。

 

 

今回触れるのは、横浜市瀬谷区にある神奈川県道45号(中原街道)(都)三ツ境下草柳線の接続部分です。

 

まずは現状から。

三ツ境下草柳線の本線は40km/h、接続部は30km/hというよくある「画一的な」規制です。また、中原街道は法定速度(60km/h規制)です。

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※30km/hの路面標示のマークがありますが、路面標示のみの設置で道路標識が設置されていなかった為です。

 

制限速度の効力を高めるために、適切な走行速度を運転者に伝えられる規制にするには、実際にこの道を通る大多数の車の走行速度に近付けることが近道です。

そこで、大多数の車の走行速度をそのまま制限速度へ反映すると、下図のようになります。

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中原街道へ合流する直前のカーブでは制限速度以上の減速が必要ですが、それ以外の区間では40km/hでの安全走行が可能です。

【追記】三ツ境下草柳線には2段階減速(50km/h→40km/h→20km/h)を取り入れる事で急激な速度変化を抑え、速度が出やすい直線区間と直角の急カーブとを滑らかに接続しています。(また、緩衝区間を余り長く取らない事で、実際の運転挙動に合わせています)

 

しかし、上の画像を見ても分かる通り、制限速度が走行速度の変化に忠実過ぎると、規制速度が複雑になることが分かります。

次々と現れる規制標識のために運転手側の情報処理が煩雑になり、安全性が却って低下する事も考えられます。(また、警察側の管理も大変になります)

 

そこで、規制速度の変化を最小限に留めつつ、適切に速度調節できるよう運転者を誘導するにはどのようにすれば良いでしょうか。

 

私の提案の一つは、速度規制を最小限にしつつ「安全速度」の標識を併用する事です。

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安全速度標識の改良案にも様々なパターンが考えられます

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急カーブ等、減速が必要な箇所には敢えて規制速度標識を設置せず、安全速度標識のみを設置する事で、規制速度に惑わされずに最適な走行速度を的確に把握できます。

60km/h規制の急カーブがあるが実際には60km/h規制標識を設置せず、「安全速度20km/h」の標識のみをドライバーに見せる事で、ドライバーには「20km/hで走行すべき」という情報のみが記憶される

そして、急カーブが落ち着いた頃に規制速度標識を設置します。

この規制速度は良線形区間に最適化されているため、実際の走行速度との乖離も発生しづらくなります。

 

 

っと、大体このような感じでしょうか。

今後、他の道路でもこのような分析をしてみたいと思います。

 

最後に、現地写真を数枚掲載して締め括ります。

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正面に見えるのが(都)三ツ境下草柳線

 

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中原街道と接続する道路。急カーブの合間は40km/hでも十分安全に走行できる

 

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中原街道からの流出直後にある急カーブ。(安全速度20km/h)

 

帷子川の源流探索や、仙台の折立交差点の続編もいずれ書きたいですね…

(完)